エンジニアの人材市場は、売り手市場が続いていて、週1〜3日程度のポジションも結構あり、学生、主婦(主夫)の中には、扶養から外れないように副業的にエンジニアをされている方も多いと思います。
本日は、そんな副業エンジニアの方が気をつけたい税金の話をしようと思います。
よく耳にする103万円の意味
よく年末になると、「年収を103万円以下にしないと扶養から外れてしまうから仕事量を調整している」ようなことを耳にしたりしますが、これは、給与所得控除(55万円)と基礎控除(48万円)の合計金額103万円から来ているのですが、どういうことかというと、
稼いだ金額(年収) - 給与所得控除 - 基礎控除 = 課税所得
となるため、年収が103万円以下であれば、課税所得が0円になるので、扶養に入ることができるということです。
ただ、いくら年収が103万円以下でも契約の種類によっては、扶養を外れてしまうこともあるので、注意が必要です。また、年収が103万円以下だから確定申告をしなくても大丈夫と思っている人にも落とし穴があり、場合によっては、確定申告が必要な場合があるので、注意が必要です。
エンジニアに多い業務委託契約
実は、給与所得控除が受けられるのは、雇用契約を締結している場合のみなんですね。具体的に言うと、アルバイトやスポット常駐の場合で、クライアントと雇用契約を結んで働いている場合は、給与所得控除が受けられるので、年収103万円以下であれば、扶養から外れる心配はありません。
ただし、ランサーズ や クラウドワークス で副業としてお仕事をしている場合や、クラウドテック などで週3日常駐やリモート稼働しているエンジニアの方は、注意が必要です。
これらの契約は、業務委託契約になるため、給与所得控除がありません。そのため、103万 - 基礎控除(48万)のみとなり55万円の課税所得が発生してしまいます。
ただ、安心してください。業務委託契約には、経費という雇用契約ではなかったものを使用できます。なので、残りの55万円から、仕事で必要だったものを経費として差し引くことができます。
エンジニアであれば、以下のようなものが経費として計上できるかと思います。
- マシンの購入費用
- サーバー使用料
- 打ち合わせなどの交通費
- 携帯代(仕事用に分けていれば)
- インターネットの回線使用料
- コワーキングスペースの使用料
- 打ち合わせで利用したカフェの飲食代
- 技術系の書籍代
- イベント参加費用
実際は、もっとあるかと思いますし、青色申告をしている方は、もっと経費にできる項目があると思いますが、開業していない副業ベースで考えると、こんなものかと思います。
これらを全て集計して55万円あれば、確定申告の際に経費として計上して課税所得を0にすることは理論上できますが、マシンを購入した場合を除き、55万の経費を計上するのは難しいかもしれません。
ちょっと費用を多めに考えつつ、副業を自宅から通勤定期1万円の範囲にあるコワーキングスペースを借り、副業専用の携帯を保有して仕事をしているエンジニアの場合:
項目 | 費用 |
---|---|
サーバー使用料 | ¥3,000 × 12 = ¥36,000 |
携帯代 | ¥10,000 × 12 = ¥120,000 |
交通費 | ¥10,000 × 12 = ¥120,000 |
インターネットの回線使用料 | ¥5,000 × 12 = ¥60,000 |
コワーキングスペースの使用料 | ¥10,000 × 12 = ¥120,000 |
打ち合わせで利用したカフェの飲食代 | ¥4,000(1回¥1,000で週1回) × 12 = ¥48,000 |
サーバー使用料 | ¥3,000 × 12 = ¥36,000 |
こんな感じの年間経費になります。これで、合計54万円です。これに書籍購入や、イベント参加などがあれば、55万円に届きそうですが、副業ベースでここまでしている人は、少ないかと思います。
計上できる経費がそこまで無い、だからと言って年収を下げるのは困ると言う方もいると思います。そんな場合は、開業届を出して青色申告をするようにすれば、65万円の青色申告特別控除が受けられるので、113万円までなら扶養に入ることができますし、そこまで経費が無い状態でも問題ありません。
課税所得が発生している方は、どちらにせよ確定申告が必要になります。その場合、開業届も必要になってきますので、同時に青色申告証人申請書を提出するのをお勧めします。
レシートなどを管理して、必要経費を管理するのが、かなり大変な作業になりますが、最近はクラウド会計などのサービスがあり、経費の計上忘れなども減り、管理も楽になるので、良いかと思います。ちなみに自分は、会計ソフトfreeeを使用していますが、かなり優れているので、お勧めです。特に自動で経理機能が素晴らしい!
ちなみに会社員のエンジニアが副業をしている場合は、20万円以上の所得がある場合に確定申告が必要になってきます。年収ではなく、所得なので経費を差し引いた後の金額ですが、あっという間に超えてしまうような金額です。逆に経費を差し引いて赤字になる場合は、0円になりますが、開業届を出して事業所得として申告をすれば、赤字分を給与から差し引いて申告できるため、節税効果があります。
ただし、近々独立などを考えている場合は、早まって開業届は足さずに、退職後に開業届を出すのをお勧めします。理由は、以下の記事で書いていますが、再就職手当になります。
フリーランスとして開業届を提出する前に知っておきたいお金のこと
副業を考えているエンジニアの方は、一度、年間で計上できる経費を集計してみて、実際に課税所得がどのくらいあるかを算出した上で、副業を開始した方が良いかもしれません。
意外と課税所得が多くなってしまった学生エンジニアや主婦(主夫)エンジニアの方は、思い切って103万円の壁を突き破ってしまった方が、扶養は外れてしまうかもしれませんが、結果的に収入も跳ね上がり、良い結果になるかもしれません。
週3日くらいでリモートも可能な案件があるエージェント
ちなみに、週3日くらいでリモートも可能な案件を紹介できるエージェントを自分の体験談を交えて紹介している記事があるので、参考にしてみてください。