今回は、エンジニアに限った話ではないですが、フリーランスになると避けて通れない経理処理と確定申告の話をしようと思います。
会社員と決定的に違う点は、クライアントとの契約周りから、交通費精算などの経理処理まで、すべて自分でやらないといけないと言うことです。
今までは、会社に経理担当や法務担当などがいて、年末調整などをやってくれましたが、フリーランスになると当然、自分で確定申告を行う必要があります。
会社員時代にはなかった経費
会社員時代には、予めチャージされた出張用の交通系ICカードが支給されていたり、特に交通費精算を気にかけることがないかも知れませんが、フリーランスになると、打ち合わせやセミナーなどへの参加時に発生する交通費も経費になりますが、すべて自分で把握をして経費として計上しなければなりません。
営業上、必要な出費は、すべて経費として収入から差し引くことができます。 1年間で得た年収から経費を差し引いた所得に対して課税されることになるので、しっかりと経費を管理することは、節税対策にもつながります。
フリーランスと青色申告
フリーランスの確定申告ですが、白色申告と青色申告の2種類があります。 白色申告の場合は、帳簿付が売上や経費などを記入した収支内訳書で済むので、比較的簡単に作成することができますが、収入から差し引ける特別控除がありません。それに対して青色申告の場合は、複式簿記という少し複雑な帳簿を作成しないといけませんが、収入から差し引くことができる特別控除額が65万円あります。
青色申告のメリット
青色申告を行う場合は、管轄の税務署で開業届の他に青色申告を行う認可の申請を提出しなければなりませんが、メリットを考えると青色申告の一択かと思います。
- 65万円の特別控除が受けられる
前述もしましたが、青色申告の大きなメリットの1つが、収入から差し引くことができる特別控除があることです。経費などを差し引いた後の課税所得が500万円の場合、白色申告の場合は、特別控除がないので、最終的な課税所得が500万円のままになり、所得税がおおよそ57万円になるのに対して、青色申告の場合は、特別控除が65万円なので、最終的な課税所得が435万円になり、所得税がおおよそ44万円となり、約13万円の節税効果があります。 - 3年間赤字を繰り越すことが可能
青色申告の大きなメリットのもう一つが、赤字を3年間繰り越せることかと思います。これは、2年連続で100万円の赤字を出した翌年に課税所得200万円の黒字になった場合、過去2年間の赤字分(200万円)を差し引けるので、その年の課税所得を0円にすることができるというものです。これは、かなり大きい節税効果になると思います。 - 家族への給与を全額経費にできる
管轄税務署へ「青色事業専従者給与に関する届出書」の提出が必要になりますが、配偶者の方が経理などを担っている場合は、申請することにより、配偶者への給与が全額経費として計上できるようになります。 - 30万円未満の減価償却資産を一括で経費にできる
基本的には、10万円を超える資産に関しては、減価償却をしないといけないため、一括して経費として計上することができません。ただし、青色申告の場合は、特例として30万円未満の資産、エンジニアであれば、PCなどを一括してその年の経費として計上することができます。 - 光熱費の家事按分が可能
自宅でリモートワークをしているエンジニアにとっては、恩恵に授かることができると思います。白色申告の場合は、事業専用など用途が明確になっていないと認められませんが、青色申告の場合は、電気代、電話代、ガズ代などを事業と家事の使用割合を設定して、事業分を経費として計上することができます。
青色申告で必要な複式簿記
複式簿記には、借方、貸方という項目があり、通常の会計で使用される単式簿記とは見た目も変わっています。
例えば、11/25にA社に30万円の請求書を発行し、12/27に入金があった場合の複式簿記での記載は、以下のようになります。
取引日 | 借方 | 貸方 |
---|---|---|
11/25 | 売掛金 A社 ¥300,000 | 売上高 ¥300,000 |
12/27 | 普通貯金 B銀行 ¥300,000 | 売掛金 A社 ¥300,000 |
もし、源泉徴収があり、かつ振込手数料(¥500)が引かれた場合は、以下のようになります。
取引日 | 借方 | 貸方 |
---|---|---|
11/25 | 売掛金 A社 ¥300,000 | 売上高 ¥300,000 |
12/27 | 普通貯金 B銀行 ¥268,870 | 売掛金 A社 ¥300,000 |
事業主貸 源泉徴収 ¥30,630 | ||
支払手数料 ¥500 |
これは、会社で経理などを担当したことがある人でも、かなりややこしいところかと思いますし、借方、貸方の勘定項目はどうするべきか?などの質問などがインターネット上で飛び交っているのをよく目にします。
確定申告の強力なツール freee(フリー)
フリーランスエンジニアとして独立する以前から音楽教室を運営していたので、かれこれ10年以上、青色申告をしています。青色申告での確定申告を行うには、何らかのツールに頼る必要があるかと思います。
初期からMacの青色申告をかなり長い間使用していました。ただ、Filemakerベースで作られていて完全に記帳するだけのアプリだったため、記帳ミスなどがあった場合に見つけるのが非常に困難だったのと、記帳ミスの指摘などが一切ないというデメリットに数年間悩まされていました。
そこで、会計系のASPなどが普及してきたので、freee(フリー)、Money Forwardクラウド会計など、いくつかのサービスを使用してみました。
結論から言うと、iPhone、iPadのアプリ、Web上のUIなどの操作性などにおいて、freeeが非常に優秀だったので、確定申告のソフトをfreeeに乗り換えました。初回以降時の操作なども簡単だったのですが、今までの帳簿にミスがあるのを指摘され、しかも、それらを簡単に修正することができた時は感動しました。
また、銀行口座、クレジットカード、モバイルSuicaなどを登録することができ、自動で同期もしてくれるので、フリーランスとして一番面倒な交通費の経費入力が格段と楽になります。
freeeを利用して、ぜひ快適な確定申告ライフを送ってください。その名の通り面倒な会計にかかる時間をフリーにしてくれます!
見積書、請求書などの発送もできる freee
ちなみに見積書、請求書などの作成と発送には、ずっとMisocaを使用していたのですが、freeeでも使用できるようになったので、2019年末からfreeeへすべて移行しました。